介護福祉士国家試験の「 こころとからだのしくみ 」の【適応機制】(防衛機制)について、かんたんにまとめます。
最初に
- 領域:こころとからだのしくみ
- 科目
こころとからだのしくみ - 大項目
こころのしくみの理解 - 中項目
①人間の欲求の基本的理解 ( マズローの欲求5段階説 )
②自己概念と尊厳
③こころのしくみの基礎 (記憶と学習)
人間の欲求の基本的理解:マズローの欲求5段階説、 こころのしくみの基礎:【記憶と学習】 については、別記事でまとめています。ご参考になさってください。
今回は、こころのしくみの基礎:【適応機制】(防衛機制)についてご説明していきます。
「10個!?多い(>へ<)」とお思いかも知れませんが、
「こころとからだのしくみ」だけではなく、「発達と老化の理解」「障害の理解」の科目にも出題されています。
ほぼ毎年、見かけていますので、押さえておくべきです。
第30回 | こころとからだのしくみ | 問題94 問題98 |
第29回 | 発達と老化の理解 | 問題78 |
第28回 | こころとからだのしくみ | 問題98 |
第27回 | 障害の理解 | 問題93 |
第25回 | 障害の理解 | 問題94 |
適応規制ってなんですか?
適応機制って言葉自体は全然耳なじみがないですよね?そして、その種類は9つに分類されいますが、堅苦しい言葉。なのに、実は、日常生活では、無意識に行っていること。
面白いですよね。
じゃあ、適応機制ってなに?というと、
自分では認めたくないような、不満などから自分を守って、満足を得ようとするこころのはたらきのこと。
こころに鎧をまとって防御したり、武器を装備して、攻めたりみたいなことなのかなって考えてます。
10個の適応機制(防衛機制)
- 抑圧
- 合理化
- 同一視
- 投影
- 反動形成
- 逃避
- 置き換え
- 補償
- 退行
- 昇華
はい、もう、めんどくさいですよね(笑)
なんとなくの意味は解ると思うんですけど、具体的には?ってことですよね?
でも、大丈夫です!
ちょっとその前に、過去問題やってみませんか?
緊張と緩和の今、緊張の部分。わからなくていいので、一度触れておきましょう。
介護福祉士国家試験 第30回 こころとからだのしくみ
問題94 適応機制の1つである「退行」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 認めたくない欲求を心の中に抑え込もうとする。
2 欲求を価値の高い行為に置き換える。
3 適当な理由をつけて、自分を正当化しようとする。
4 発達の未熟な段階に後戻りして、自分を守ろうとする。
5 苦しくつらい現実から逃げることで、一時的に心の安定を求める。
これは、選択肢からみえてきますよね?だいたいがこんな問いかけをするので、そんなに難しくはないですね?
解答は4
「退行」=「後戻り」でつながりますね?
10個を一旦、表にしてみます。
適応機制の種類
適応規制 | 説明 |
抑圧 | 自分では認めたくないような欲求や衝動を、意識的に上らせないようにする。 |
合理化(正当化) | 都合のよい言い訳で、自分の失敗や欠点を正当化する。 |
同一視 | 対象者の望ましい特徴を、まるで自分のもののようにみなし、同じ髪型にするなど、同じように行動して満足を得る。 |
投影 | 自分では認めがたい弱点などを他人に見出し、非難することで不安を解消する。 自分の認めたくない衝動や感情を相手に押し付ける。 |
反動形成 | 抑圧された欲望や願望とは正反対の行動、態度をとる。 |
逃避 | 不安や緊張をもたらす状況から逃げて、自分を守ろうとする。 |
置き換え | 八つ当たり。 ある対象者への感情を別の対象者に向けて表現する。 |
補償 | 他の面で人より優れた成績をとることで、自分の弱点や、劣等感を補おうとする。 |
退行 | 守ってほしい、愛されたいという欲求から、今よりも未熟な段階に戻る。 |
昇華 | 直ちに実現できない欲求を、価値ある行為に置き換えようとする。 |
表にしたところで、頭に入ってこないような気がしますが、表を見ながらでかまいませんので、別の過去問に挑戦してみましょう。


介護福祉士国家試験 第27回 障害の理解
問題93 適応機制の1つである「昇華」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 . 認めたくない欲求を心の中に抑え込んでしまおうとする。
2 . 名声や権威に自分を近づけることで、自分の価値を高めようとする。
3 . 自分に都合の良い理由をつけて、自分を正当化しようとする。
4 . 発達の未熟な段階に後戻りして自分を守ろうとする。
5 . 直ちに実現できない欲求を、価値ある行為に置き換えようとする。
解答
1 . 認めたくない欲求を心の中に抑え込んでしまおうとする。…「抑圧」
2 . 名声や権威に自分を近づけることで、自分の価値を高めようとする。…「同一視」
3 . 自分に都合の良い理由をつけて、自分を正当化しようとする。…「合理化」
4 . 発達の未熟な段階に後戻りして自分を守ろうとする。…「退行」
5 . 直ちに実現できない欲求を、価値ある行為に置き換えようとする。…「昇華」
介護福祉士国家試験 第25回 障害の理解
問題94 障害受容の過程に見られる「抑圧」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 認めたくない欲求、不安や苦痛を意識下にとどめる。
2 障害を認めず、元に戻ると信じている。
3 子どものように甘えたり、すぐに泣いたりする。
4 自分の立場を正当化し、失敗感や劣等感から逃れようとする。
5 周囲の手助けを拒否して、自分を強く見せようとする。
解答
1 認めたくない欲求、不安や苦痛を意識下にとどめる。…「抑圧」
2 障害を認めず、元に戻ると信じている。…「逃避」
3 子どものように甘えたり、すぐに泣いたりする。…「退行」
4 自分の立場を正当化し、失敗感や劣等感から逃れようとする。…「合理化」
5 周囲の手助けを拒否して、自分を強く見せようとする。 …「反動形成」
介護福祉士国家試験 第29回 発達と老化の理解
問題 73 加齢に伴う身体機能の低下を感じている高齢者の心理に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。
1 身体機能の低下に対する不安や悲しみを、自分が経験しているのではなく、友人のことだと考えることで心理的安定を図ろうとすることを、抑圧という。
2 受け身的で、子どものように振る舞うことで心理的安定を図ろうとすることを、投影という。
3 身体機能の低下の代わりに、認知的な活動での優越感を持つことで心理的安定を図ろうとすることを、補償という。
4 身体機能を使う場面を避けて、ひきこもることで心理的安定を図ろうとすることを、退行という。
5 身体機能の低下に対する不安や悲しみを、無意識的に抑えることで心理的に安定を図ろうとすることを、逃避という。
解答
1 身体機能の低下に対する不安や悲しみを、自分が経験しているのではなく、友人のことだと考えることで心理的安定を図ろうとすることを、投影という。
2 受け身的で、子どものように振る舞うことで心理的安定を図ろうとすることを、退行という。
3 身体機能の低下の代わりに、認知的な活動での優越感を持つことで心理的安定を図ろうとすることを、補償という。
4 身体機能を使う場面を避けて、ひきこもることで心理的安定を図ろうとすることを、逃避という。
5 身体機能の低下に対する不安や悲しみを、無意識的に抑えることで心理的に安定を図ろうとすることを、抑圧という。
ちょっと難しいところもありましたけど、明らかに正しいものは、解答…3だとわかりますね。
適応機制の具体例
適応規制 | 具体例とキーワード |
抑圧 | 夢、日常生活での間違った行動を忘れる。 「トラウマ」 |
合理化 | 勉強に集中できないのは、周りがうるさいからだと思う。 「いいわけ」 |
同一視 | 熱狂的なファンになる。 「芸能人」 |
投影 | あの人は、私のことが嫌いなんだと思う。 「一方的に押し付ける」 |
反動形成 | すごく嫌いで関わりたくないけど、逆に、積極的に関わる。 「手助けとかいらないし、自分でやるから」 「好きな人相手に冷たくする。」 |
逃避 | 空想や、病気になることで逃避する。 「仮病、引きこもり」 |
置き換え | 会社の上司への不満を、部下に八つ当たりする。 「八つ当たり、身代わり」 |
補償 | 体育の苦手な生徒が、勉強でいい成績をとる。 「コンプレックスを隠す」 |
退行 | 弟や、妹ができた兄が、母の気を惹くため、 「赤ちゃんがえり」する。 |
昇華 | 性的願望や、攻撃欲などの社会的に認められない欲求を、 価値の高い活動に打ち込み、飛躍する。 「趣味に没頭」 |


応用問題
知っていてもわりと、混乱させられる問題が、さらに応用されることがあります。
応用された過去問題に挑戦。
なかなか難しいことになっています。
介護福祉士国家試験 第28回 こころとからだのしくみ
問題97 Gさん(84歳、女性)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を受けながら、自宅で一人で生活していた。2ヶ月前、在宅中に大雨による土砂崩れで自宅の半分が埋まってしまったので、介護老人保健施設に入所した。入所後のGさんはイライラすることが多くなり、入眠障害が見られるようになった。また、夜間に突然覚醒し、大声で介護福祉職を呼ぶことがたびたびあった。
現在のGさんの状態を表す用語として、もっとも適切なものを1つ選びなさい。
1 退行
2 見当識障害
3 フラストレーション
4 アルツハイマー型認知症
5 心的外傷ストレス障害
解答
適応機制そのものの内容を問われるというわけではありませんが、こんな出方もするんだなと思っていただければと思います。
- 「退行」といわれる行動ではないですね。
- 夜だとわからず大声を出しているわけではないです。また、入眠障害も「見当識障害」からくるものではありません。
- 「フラストレーション」はさまざまな制限により、自分の欲求が満たされない場合に感じる欲求不満のことです。欲求不満から適応機制がはたらくことはあるが、入眠障害などは起こらないとされます。
まあ、「本当にそういいきれますか?」と疑ってしまうと、解けなくなってしまうので、試験終わってからゆっくり疑ってください(笑) - 「アルツハイマー型認知症」の特徴は現れていないですよね?
- 「心的外傷ストレス障害」は災害などの体験が原因で精神的外傷を負ったことにより、起こるストレス症候群。
外傷的出来事の記憶がよみがえり、悪夢として反復され、睡眠障害などの症状が現れる。
Gさんの状況を考えると、寝ていて、悪夢として、土砂災害の記憶が出てきてしまい、眠れなくなっていると考えられます。
難しい問題にあたったらどうする?
つぎの問題、ちょっと難しいかなって思うんです。
介護福祉士国家試験 第30回 こころとからだのしくみ
問題 98
Kさん(91 歳,男性,要介護 1 )は、65歳の娘と二人暮らしである。訪問介護員(ホームヘルパー)が週 2 回通っている。
もともと頑固で怒りやすい性格だが、ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が茶ちゃわん碗を割ったのをきっかけに怒りを爆発させて、この訪問介護員(ホームヘルパー)を代えるように娘に主張した。
それは難しいと娘が説明したところ、「もういい、他人には自分の気持ちを理解できるはずがないから、どうせ代わっても今と変わりはない」と話を打ち切ってしまった。
この会話でKさんにみられた適応機制として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 抑圧
2 合理化
3 反動形成
4 昇華
5 投影
解答は2の合理化なんですけど、まあ、難しいと私は思いました。
いろんな方の解説見ましたけど、ピンとこないんですよ、正直…
消去法と、一旦置いとく。
でも、こういときは消去法
「抑圧」はしてないな、「反動形成」ヘルパーさんのことすごく好きとかかいてないしな…、何かに打ち込んでいる様子もないし、「昇華」も違いそうだな、批判したり、一方的に勘違いしている様子もないから「投影」なさそうだな…、どうせ代わっても一緒だ見たいな子といって自分を納得させようとしているから「合理化」かな…。
じゃあ、2にしておこうかなくらいの感じ。にしておきましょう。
空欄にしておくのもダメ。
考えてもわからないところに時間を使っちゃダメですからね。
解ける問題に行き着かず終わるなんてホントもったいない。
実際、試験中は、あたりだけつけて一旦おいとく。
時間が余ったらゆっくり考えましょう。
私は、考える時間が長くなりそうなら、あたりだけつけて次々行って、午前も午後も45分時間が余ったので、わからない問題にとりかかって、それでも時間余っちゃったから、事例問題の対象者の、生活歴とか、背景とか、そのかたの人となりを想像したりして楽しんでました。
正解数は100問越えてたし、結構いい点とれてますでしょ?
もちろん、ラッキー正解もあると思いますけどね、私、運はいい方なので(笑)


記事の最後に
最後に、今回挑戦した、過去問題に再挑戦していただければと思います。
まとめ自体はかんたんでしたけど、過去問題数が多かった…
長くなってすみませんが、それだけ頻出だということ。
絶対に押さえなきゃならないですね。
介護福祉士国家試験 第30回 こころとからだのしくみ
問題94 適応機制の1つである「退行」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 認めたくない欲求を心の中に抑え込もうとする。
2 欲求を価値の高い行為に置き換える。
3 適当な理由をつけて、自分を正当化しようとする。
4 発達の未熟な段階に後戻りして、自分を守ろうとする。
5 苦しくつらい現実から逃げることで、一時的に心の安定を求める。
介護福祉士国家試験 第29回 発達と老化の理解
問題 73 加齢に伴う身体機能の低下を感じている高齢者の心理に関する次の記述のうち、正しいものを 1 つ選びなさい。
1 身体機能の低下に対する不安や悲しみを、自分が経験しているのではなく、友人のことだと考えることで心理的安定を図ろうとすることを、抑圧という。
2 受け身的で、子どものように振る舞うことで心理的安定を図ろうとすることを、投影という。
3 身体機能の低下の代わりに、認知的な活動での優越感を持つことで心理的安定を図ろうとすることを、補償という。
4 身体機能を使う場面を避けて、ひきこもることで心理的安定を図ろうとすることを、退行という。
5 身体機能の低下に対する不安や悲しみを、無意識的に抑えることで心理的に安定を図ろうとすることを、逃避という。
介護福祉士国家試験 第28回 こころとからだのしくみ
問題97 Gさん(84歳、女性)は、訪問介護(ホームヘルプサービス)を受けながら、自宅で一人で生活していた。2ヶ月前、在宅中に大雨による土砂崩れで自宅の半分が埋まってしまったので、介護老人保健施設に入所した。入所後のGさんはイライラすることが多くなり、入眠障害が見られるようになった。また、夜間に突然覚醒し、大声で介護福祉職を呼ぶことがたびたびあった。
現在のGさんの状態を表す用語として、もっとも適切なものを1つ選びなさい。
1 退行
2 見当識障害
3 フラストレーション
4 アルツハイマー型認知症
5 心的外傷ストレス障害
介護福祉士国家試験 第27回 障害の理解
問題93 適応機制の1つである「昇華」に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 . 認めたくない欲求を心の中に抑え込んでしまおうとする。
2 . 名声や権威に自分を近づけることで、自分の価値を高めようとする。
3 . 自分に都合の良い理由をつけて、自分を正当化しようとする。
4 . 発達の未熟な段階に後戻りして自分を守ろうとする。
5 . 直ちに実現できない欲求を、価値ある行為に置き換えようとする。
介護福祉士国家試験 第25回 障害の理解
問題94 障害受容の過程に見られる「抑圧」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 認めたくない欲求、不安や苦痛を意識下にとどめる。
2 障害を認めず、元に戻ると信じている。
3 子どものように甘えたり、すぐに泣いたりする。
4 自分の立場を正当化し、失敗感や劣等感から逃れようとする。
5 周囲の手助けを拒否して、自分を強く見せようとする。
介護福祉士国家試験 第30回 こころとからだのしくみ
問題 98
Kさん(91 歳,男性,要介護 1 )は、65歳の娘と二人暮らしである。訪問介護員(ホームヘルパー)が週 2 回通っている。
もともと頑固で怒りやすい性格だが、ある日、訪問介護員(ホームヘルパー)が茶ちゃわん碗を割ったのをきっかけに怒りを爆発させて、この訪問介護員(ホームヘルパー)を代えるように娘に主張した。
それは難しいと娘が説明したところ、「もういい、他人には自分の気持ちを理解できるはずがないから、どうせ代わっても今と変わりはない」と話を打ち切ってしまった。
この会話でKさんにみられた適応機制として、最も適切なものを 1 つ選びなさい。
1 抑圧
2 合理化
3 反動形成
4 昇華
5 投影
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本当にお疲れ様でした。
最後に面白そうな本があったので、ご紹介します。
この科目の記事作ってたら、急に気になってしまいました。
よろしければ、ご覧になってください。

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