ハンセン病家族訴訟判決
2019年6月28日
ハンセン病患者に対する国の隔離政策で、家族も差別などの被害を受けたとして、元患者の家族561人が国に損害賠償と謝罪を求めた集団訴訟で国に損害賠償の支払いを命じる判決を下した。
それが【ハンセン病】を学ばない理由であってはいけないと思う。
「なんか、ニュースによく出てくるなー」
「自分には関係ないなー」
「よくわかないし」…
は介護士として、福祉関係従事者としては学ばない理由にならないと思います。
どんな病気で、どんな歴史があって、どうして訴訟になったのか?
背景を知ることで、自分たちが何をするべきか?を考え、学ぶきっかけにしていただければと思います。
介護福祉士試験でも問題になることがあります。
かんたんにまとめましたので、ご参考にしてください。
今回のニュースを受け、知っておく必要があると思い、ハンセン病の日本の歴史をいっしょに学んでいただければと思います。
目次
・ハンセン病家族訴訟の判決
・ハンセン病から見る日本の歴史とは
・患者さんの言葉
・歴史をみて思うこと
・私たちができることとは?
・「誰もが喜べる喜びを」
・ハンセン病って一体どんな病気なの?
・ハンセン病の由来
・ハンセン病の感染源と感染経路
・ハンセン病の病状は?
・第25回介護福祉士国家試験
「人間の尊厳と自立」
ハンセン病から見る日本の歴史とは
以下、「歴史から見るハンセン病とは?」より引用し、まとめました。
古くは「日本書紀」や「今昔物語集」にも「らい」の記述があるといわれ、 ひっそりと世の中から隠れて暮らしたそうです。
政府は1907年(明治40年)
「癩予防に関する件」という法律を制定し、 一般社会から隔離してしまいまいました。
患者の救済も目的としていましたが、 ハンセン病は伝染力が強いという間違った考えが広まり、偏見を大きくしてしまいました。
1929年 (昭和4年)
各県が競ってハンセン病患者を見つけだし、 全国に国立療養所を配置し、全ての患者を強制的に入所させる体制が作られました。
1953年(昭和28年)
患者たちの猛反対を押し切って「らい予防法」が成立しました。
この法律の存在が世間のハンセン病に対する偏見や差別をより一層助長したといわれ、患者はもとよりその家族も結婚や就職をこばまれるなど、偏見や差別は一向になくなりませんでした。
1996年(平成8年)
ようやく「らい予防法」の廃止。
解決に向けて、熊本地裁判決を契機に国は患者・元患者の方々に謝罪し、名誉回復、社会復帰支援策が採られています。
1998年(平成10年)7月
熊本地裁に「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟が提訴。
2001年(平成13年)5月11日、熊本地裁で原告(患者・元患者)が勝訴、 国は患者・元患者さんたちに謝罪。
つまり、8世紀につくられた「日本書紀」から今日までの長い間、偏見と差別に苦しんでいた、いや、「苦しめられていた」ということですね。
そして国は
2002年(平成14年)4月
「国立ハンセン病療養所等退所者給与金事業」を開始、啓発(広く知ってもらう)活動を積極的に行うなど、名誉回復のための対策を進めている。
患者さんの実際の言葉
本当に怖いのは、らい菌なんかじゃないんですよ。
むしろ怖いのは、ハンセン病患者の苦悩をまともに見つめてくれない、
壮健たちの目ではないか。私はそう思っています。
我々の苦しみから目をそらして、これを見ようとしない、
壮健社会の目こそ怖いのです。
*壮健…健常者
歴史を見て思うこと
私が思うことは
病気そのものが怖いんじゃない。
偏見、差別で、蔑み、遠ざける…
人間が怖いということ。
「自分たちと違う」だけで
多数決が正しいという風潮。
そんなことで世の中が出来上がってしまう。
人それぞれ違うのは当たり前だし
多数が正しいわけでもない。
みんな違うから面白いことがいっぱいなんです。
少数の人間が楽しんじゃダメですか?
そうじゃないですよ。
誰もが楽しんでいいんだと思います。
私たちができることとは?
差別、偏見をなくすため、正しい知識と、理解をもつことです。
私はニーチェの哲学が結構好きだったりします。
以下、
超訳 ニーチェの言葉 エッセンシャル版 [ 白取 春彦 ]
という書籍から引用します。
誰もが喜べる喜びを
私たちの喜びは
他の人の役にたっているだろうか。
私たちの喜びが
他の人の悔しさや
悲しさを
いっそう増したり
侮辱になったりしてはいないだろうか。
私たちは本当に
喜ぶべきことを
んでいるだろうか。
他人の不幸や厄災を
喜んではいないだろうか?
復讐心や、軽蔑、差別の心を
満足させる喜びになっていないだろうか。
「力の意思」
なにか、感じ取ってもらえればと思います。
ハンセン病って一体どういう病気なの?
ハンセン病の由来
1873年にらい菌を発見したノルウェーの
アルマウェル・ハンセン医師の名前が由来。
ハンセン病の感染源と感染経路は?
感染源 | らい菌という細菌を 大量に排出するハンセン病患者。 |
感染経路 | はっきりわかっていないが 鼻や口からの飛沫を介し感染すると 考えられている。 |
感染力 | 非常に弱い。 ほとんどの人は自然に免疫がある。 “最も感染力の弱い感染病” |
治療 | 経口の特効薬で通院によって完治 。 |
ハンセン病の病状は?
・初期症状は皮膚に現れる白または赤・赤褐色の斑紋です。痛くも痒くもなく、触っても感覚が無い。
・治療をせずに放置すると身体の変形を引き起こし障害が残る恐れもある。
・ 特効薬も開発されており 初期に治療を開始すれば障害も全く残らない。
日本財団HP「ハンセン病とは?」より引用
まとめ
・長い間、偏見と差別に苦しめられていた。
・国は今、名誉回復のための対策を進めている。
・ほとんどの人は自然に免疫がある。
・ “最も感染力の弱い感染病”
・初期症状は皮膚に現れる白または赤・赤褐色の斑紋(発疹)です。痛くも痒くもなく、触っても感覚が無い。
・治療をせずに放置すると身体の変形を引き起こし障害が残る恐れもあるが、特効薬もあり、初期に治療を開始すれば障害も全く残らない。
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介護福祉士国家試験の問題に挑戦することで、さらに頭のなかに定着させましょう。
第25回介護福祉士国家試験 人間の尊厳と自立
Aさん(84歳、男性)は、「私は13歳のとき、発疹が現れ医師の診察を受けたところ、ある感染症にかかっているという理由で、強制的に国立の療養所に入所させられた」と語った。この入所は、ある感染症の予防法に基づくものであった。
Aさんは、「療養所では、入所した日から本名を使うことができなかった。また、一時帰宅したが、その後の帰宅を両親から断られた」と続けた。 この法律は1996年(平成8年)に廃止された。
Aさんが罹患した感染症として、正しいものを1つ選びなさい。
1 . 破傷風
2 . コレラ
3 . 痘そう
4 . 梅毒
5 . ハンセン病
解答…5
1.破傷風は土の中等に存在する破傷風菌による中毒性感染症。主に傷口から感染。
2.コレラは、コレラ菌の経口感染による急性消化器系伝染病です。
3.痘そうは、天然痘や疱瘡とも呼ばれる急性発疹性伝染病です。
4.梅毒は、梅毒トレポネーマによって発生する感染症で、性感染症です。
この問題の場合は、ハンセン病の時代背景を知っているか?または、ハンセン病以外の感染症について知っているか?で解けますね。
記事の最後に
時事ニュースということもあり、2020年で出てくる可能性はあるかと思います。
しかしながら、 「試験に出そうだから」だけで覚えるのではなく、病気にどんな背景があったのか?も重要で、福祉に携わる人間として知っておく必要があるなと思いました。
今回、サイトを運営することになって、初めてきちんと向き合えたことを感謝します。
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