人に優しくなれる【尿失禁】 高齢者に多い病気と日常生活での注意点 介護福祉士国家試験対策「発達と老化の理解 「かんたんまとめ」⑦

骨盤底筋トレーニング

「尿失禁」についてかんたんにまとめました。

尿失禁って介護士として働いていると、毎日のように聞くし、言ったりします。
「またか…」と思ってしまうこともありますでしょう?

ご本人たちは尿失禁したくてしているわけではないし、負い目すら感じてしまっている方もいらっしゃいます。

正しい知識を持って、理解することで、少し、優しくなれたらと思います。

尿失禁とは?

尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうこと。

40歳以上の女性の4割以上の方が経験し、実際に悩んでいるといいます。
もちろん、女性だけでなく、男性にもあります。

介護福祉士国家試験に挑戦しながら、理解をしていきましょう。

介護福祉士国家試験に挑戦
第31回 問題72

 尿失禁に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。


1 認知症(dementia)で尿を漏らすのを、腹圧性尿失禁という。
2 トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを、切迫性尿失禁という。
3 重い物を持った時に尿を漏らすのを混合性尿失禁という。
4 色々な原因が重なって尿を漏らすのを、溢流性尿失禁という。
5 前立腺肥大(prostatic hypertrophy)で尿を漏らすのを、機能性尿失禁という。


解答…2

尿失禁の種類

尿失禁の種類は大きく分けて4つあります。

類型状態傾向
腹圧性咳など、急に腹部に力が
加わると、尿が出てしまう
女性に多い
切迫性尿を我慢することが
できない
高齢者全般
溢流性少量の失禁が続く男性に多い
機能性トイレに行くまでに
時間がかかり失禁する
麻痺
機能低下
認知症

ひとつずつ見ていきましょう

腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁
さんによるイラストACからの無料イラスト 

お腹に力が入った時に尿が漏れてしまう尿失禁。
女性の尿失禁の中で最も多い

どんなとき?

重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみをした時、むせてしまった時など。

なぜ?

骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こる。
加齢や出産がきっかけで起こる為、女性に多い。

荷重労働排便時の強いいきみ、喘息なども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。

切迫性尿失禁

kotokotoさんによるイラストACからの無料イラスト 

切迫性尿失禁とは、急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまう尿失禁。
外出中や乗り物に乗っている時などに困ります。

なぜ?

排尿のコントロールが、うまくいかなくなった時。

しかし多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたしてしまいます。

男性…前立腺肥大症
女性…膀胱瘤や子宮脱などの骨盤臓器脱

溢流性尿失禁(いつりゅうせい)

溢流性尿失禁とは、自分で尿を出したくても出せないのに、尿が少しずつ漏れてしまう尿失禁。

なぜ?

前立腺肥大症が原因で、男性に多い。

その他、直腸癌や子宮癌の手術後など、
膀胱周囲の神経の機能低下も原因になります。

機能性尿失禁

機能性尿失禁
ゆずあんさんによる無料イラストACからのイラスト 

機能性尿失禁とは、 排尿機能に異常はないが、身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁。

どんなとき?

歩行障害のためにトイレまで間に合わない
認知症のためにトイレで排尿できない

では、ここで介護福祉士国家試験過去問題に挑戦してみましょう。
先ほどと違う問題です。

介護福祉士国家試験に挑戦
第29回 問題106

Gさん(81歳、女性)は日常生活は自立していて、活発に活動していたが、最近外出することが少なくなった。理由を尋ねると、「くしゃみや咳(せき)をしたときに、尿が漏れてしまうことが多くなったから」ということだった。

Gさんの失禁の原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。


1 神経疾患
2 骨盤底筋群の機能低下
3 水分のとりすぎ
4 膀胱(ぼうこう)過敏(かびん)
5 精神的な影響

解答…2

「くしゃみや咳(せき)をしたときに、尿が漏れてしまうことが多くなったから」 ことから、
腹圧性尿失禁だと考えられます。

腹圧性尿失禁の原因は、
骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こる」

ので、2の 骨盤底筋群の機能低下 となります。

事例問題に取り組むと、考えるのが、以前は活発に活動していたのに、外出に消極的になってしまったんだなー、以前のように楽しんでもらいたなーと考えてしまいす。

介護福祉士国家試験当日も、というか問題解きながらちらつき、余った時間で考えてましたね、前、後半とも40分くらいづつ時間余っちゃったんで。

そうなると、どう対策をとっていくか?治療や、改善策が必要になります。

尿失禁の治療

骨盤低筋群トレーニング

腹圧性尿失禁には

  • 骨盤底筋訓練で外尿道括約筋や骨盤底筋群を強くする。
  • 肥満の方では、減量が有効なことがある。
  • 保存的療法では改善しない場合などは、手術という方法もある。身体への負担は少ないといわれています。

切迫性尿失禁には

  • 薬物療法が有効。
  • 飲水コントロール
  • 骨盤底筋訓練
  • 膀胱訓練(尿意を少し我慢する)

    などの行動療法を併用します。

改めて、介護福祉士国家試験挑戦しましょう。

介護福祉士国家試験に挑戦
第31回 問題72

 尿失禁に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。


1 認知症(dementia)で尿を漏らすのを、腹圧性尿失禁という。
2 トイレまで我慢できずに尿を漏らすのを、切迫性尿失禁という。
3 重い物を持った時に尿を漏らすのを混合性尿失禁という。
4 色々な原因が重なって尿を漏らすのを、溢流性尿失禁という。
5 前立腺肥大(prostatic hypertrophy)で尿を漏らすのを、機能性尿失禁という。

介護福祉士国家試験に挑戦
第29回 問題106

Gさん(81歳、女性)は日常生活は自立していて、活発に活動していたが、最近外出することが少なくなった。理由を尋ねると、「くしゃみや咳(せき)をしたときに、尿が漏れてしまうことが多くなったから」ということだった。

Gさんの失禁の原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。


1 神経疾患
2 骨盤底筋群の機能低下
3 水分のとりすぎ
4 膀胱(ぼうこう)過敏(かびん)
5 精神的な影響

記事の最後に(まとめ)

  • 尿失禁とは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうこと。
  • 尿失禁の種類は大きく分けて4つある。
  • 腹圧性、切迫性、溢流性、機能性。
  • 腹圧性は、お腹に力がはいった時。
  • 切迫性は、尿を我慢できない。
  • 溢流性は、尿が少しずつ漏れる。
  • 機能性は、身体機能低下などで起こる。
  • 骨盤底筋訓練などのトレーニングや、服薬、手術、環境を整えるなどで改善できる。
  • 尿失禁の種類や程度により、治療法は様々。
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以前は外出に積極的だったのに、消極的になってしまったり、自信をなくして、意欲もなくしてしまうなど、尿失禁は生活の質を低下させてしまいます。

介護士としては、どうしたら、意欲的になってもらえるかな?とか、以前の生活を取り戻して欲しいなとか、ご本人様は本当はどうしたいのかな?と考え、その方が望む、その方に合った対応を考え、実行していくことが理想ですね。

その方ののことを正しく理解することで、「またか…」と考えず、どうしたらいいかな?と考えることで、優しくなっていけますね。

もし、尿失禁で困ったなと思っている方が見てくださっていたら、恥ずかしがったり、年齢的なこととあきらめたりしないでください。

介護士や、専門医、理学療法士などに相談して、積極的に外出して、外の刺激をたくさん受けましょう。認知症の予防にもなります。

参考ページ
日本泌尿器科学会HP「尿が漏れる・尿失禁がある」

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認知症サポーター養成講座② 「認知症の症状」

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認知症の症状

目次

  • 認知症の症状って?
  • 中核症状とは?
  • 周辺症状・BPSDとは?
  • 記事の最後に
  • あわせて読みたい記事

認知症の症状って?

  • 記憶障害見当識障害理解・判断力の低下実行機能の低下などの中核症状
  • うつ状態や妄想のような精神症状や、日常生活への適応を困難にする行動上の問題が起こる、周辺症状があります。

中核症状とは?

記憶障害見当識障害理解・判断力の低下実行機能の低下などの中核症状により、現実を正しく認識できなくなります。
こちらは、脳の細胞が壊れることによって直接起こる症状になります。
治りにくい症状です。

記憶障害見当識障害理解・判断力の低下実行機能の低下についてまとめていきます。

記憶障害

記憶障害

若いときは
重要な情報もすばやく、しっかり覚えて保存し、関心のある情報もキャッチします。

成人は
若いときに比べて、大切な情報も覚えますが、少し手間がかかります。
関心のある情報も、すべてキャッチしきれなくなります。

認知症の方は
大切な情報を覚えられず、関心のある情報、新しい情報をキャッチできません。
しかし、昔の記憶は覚えています。

認知症が進行すると
覚えていた情報までも忘れていってしまいます。

物忘れと記憶障害の違い

「昨日のお昼何食べたっけ?」…物忘れ
「昨日お昼ご飯食べたっけ?」…記憶障害
記憶障害は行動そのものを忘れてしまいます。

物忘れ記憶障害
食べたもの食べたこと
旅行先旅行に行ったこと
孫の名前孫の存在

見当識障害

見当識障害

そもそも見当識って?

見当識(けんとうしき)とは、現在の年月や時刻、自分がどこにいるかなど基本的な状況を把握することをいいます。

見当識障害とは?

『時間』や『季節感』『場所』や『方向感覚』
自分の置かれている状況を理解する力が低下します。
時間」、「場所」、「人の順番」で
低下していきます。

自分の年齢・家族の年齢
日にち、曜日

ご近所でも道に迷ってしまう。
更に進行すると・・・

自分の年齢や周囲の人の関係も分からなくなり、自分の子供に「おかあさん」と呼びかけてしまったりすることもあります。

理解・判断力の低下

acworksさんによるイラストACからのイラスト 

認知症になると、ものを考えることにも障害が起こります。

  • 考えるスピードの低下
  • 2つ以上の事が重なると同時に行えない。
  • 予定以外の出来事に混乱しやすくなる。
  • 詐欺被害などの危険
  • 時間をかければ自分なりの結論に至ることができます。
    急がせないことが大切です。
  • 必要な話はシンプルに表現する 。
  • 夫の入院で混乱してしまったことをきっかけに認知症が発覚する場合があります。
  • セールスマンの口車にのって高価な羽布団を何組も買ってしまう。

目に見えないメカニズムが理解できなくなるので、自動販売機や交通機関の自動改札、銀行のATMなどの前ではまごまごしてしまいます。全自動の洗濯機、火が目に見えないIHクッカーなどもうまく使えなくなります。

実行機能障害

ぴかちゃんさんによるイラストACからのイラスト 

実行機能って?

かんたんにいうと、
目標を設定し
計画を立て
実行
進行具合から効率化調整を計る
一連の活動を行うこと。

計画的に行動できなくなる

夕食の味噌汁の具材を買う為、スーパーへ。
お家の冷蔵庫には油揚げが残っています。
スーパーで大根を見かけました。
健康な方と、認知症の方の行動の違いを見てみましょう。

スーパーで買い物
acworksさんによるイラストACからのイラスト 
健康な方認知症の方
冷蔵庫に油揚げが
あること
覚えている忘れている
買ったもの大根のみ大根と油揚げ
さっき
買ったものを
覚えている忘れてしまう
味噌汁の具大根、油揚げ冷蔵庫を開け
目に入った物
冷蔵庫に
大根と油揚げが…
残らず使用残ってしまい
同じものが
複数ある。

「できないから、やらせない」じゃない!

認知症の人は「なにもできなくなった」わけではありません。
周りの方の目配りや、ちょっとした一言で、今まで通りに食事の準備もできます
手助けをしてくれる人がいれば、その先は自分でできるということがたくさんあります。

周辺症状・BPSD

周辺症状・BPSD

周辺症状とは?

うつ状態や妄想のような精神症状や
日常生活での行動上の問題が起こる。

「性格」
「環境」
「人間関係」など

さまざまな要因がからみ合って起こる症状です。

認知症の人は、ときとして周囲の人が予測しない、思いがけない感情の反応を示します。

たとえば「そんな馬鹿な!」という言葉を、その場の状況を読めずに自分が「馬鹿」と言われたと解釈してしまい
「馬鹿とはなんだ!」と感情をあらわにしてしまいます。

認知症の人の心理・行動がわかっていれば、本人にとっては不自然な感情表現ではないことを理解できます。

これらの症状は
認知症の進行によって悪化するばかりでなく、
周囲の人の不適切な対応によって悪化します。

逆に言えば
認知症を正しく理解して、適切に対応することで、進行を抑制し、改善できます。

具体的には

失敗を責められて…

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自信をなくす

意欲がなくなる

将来に不安を感じてうつ状態になる。

失くし物が多くなって…

物盗られ妄想

「*物盗られ妄想

他の情報と混ざり、混乱。

より、複雑な妄想。

物盗られ妄想

自分でしまった場所を忘れているのだが、盗まれたという妄想をしてしまうこと。

「あんたが盗ったのわかってるんだよ!」と自分の子供にあたってしまう。
よくお世話をしている援助者に対して現れることが多いと言われています。
「大切な親のものを盗るわけないでしょ…」と本当に悲しい…一番心を痛めるのではないかと思います。

私は、以前働いていた施設で物盗られ妄想を訴えられた経験をしましたが、なんとも言えない悲しさがこみ上げました。

このような場合は、いっしょに探して差し上げるのが一般的な対応。
間違いではないですし、おそらく介護系の試験なんかではこれが正解とされる。
ですが、その場しのぎみたいな対応ですよね。

理想を言えば、
「その方の性格や、生活歴を知り、何がきっかけで、いつ、どんなときこのような状態になるのか?を知り、多角的に見て、多職種、ご家族様と協力して、解決していくこと。」
なんですよね。
情報の収集には、センター方式というツールを活用します。

記事の最後に

認知症ケアって多職種も巻き込むし、そもそも1人では解決できないことのほうが多いと思います。

そう考えると、認知症ケアでご家族の方が1人で悩んでいてもそうそう解決できるものではないということです。

1人でやろうとするから、悩んでしまうし、ストレスになってしまうし、そのストレスは、相手に伝わってしまう。

認知症の方って、言葉以外の、表情や、感情も敏感に捉えるんですよね。
なので、さらに症状を悪化させてしまい、介護者はさらにストレスの渦に巻き込まれ、負のループにしかならない。

もし、家庭内で、誰にも相談せずに、悩んで、心も身体も、「もうダメだ…」と思っている方がいたら、誰かに相談してください。

なんのゆかりもない近くにある介護施設でもいいですよ。

いきなり行って大丈夫?変な人と思われない?と思われているなら、心配しないでください。

相談に乗ってくれるはず。

「世の中、ろくでもないけど、棄てたもんでもない」

もし、すごく悩んで、誰かに話したけど相手ににしてもらえなかったって方が、私の記事を見て、まだ、困っていたら、相談してください。

「私自身、特別すごい人間じゃないけど、困っている人は助けたいし、悩んでいる人の支えになりたい。」

「私も困ったり、悩んだりして、その度誰かに助けてもらって、支えてもらってきました。それは今も変わらないです。今も家族や、たくさんの同僚、仲間や、友人、上司に支えてもらっています。」

だから、俺は棄てない。

北海道でも、九州でも、沖縄でも一言もらえればどこにだっていきますから、切羽詰ってどうしようもなくなっちゃってたら、お金取るわけでもないし、私はただ力になりたいだけだから。

「 何もしなきゃ 昨日と同じ明日しか来ない

一歩だけでも、進んでください。
一歩進めば、物事は変わる。

認知症サポーター養成講座からちょっと脱線しちゃいましたね。
続きは
認知症サポーター養成講座③で

参考資料:厚生労働省:政策レポート(認知症を理解する)

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