介護福祉士国家試験に出てくる【傾聴基本動作】~SOLER理論~について、まとめていました。
今回は傾聴の基本動作の「SOLER」(ソーラー)理論についてかんたんに解説していきます。
結論からいうと、
「緊張させないで、リラックスしてもらう」こと
が重要ですよ。という理論だと私は思います。
ちょっとその前に
傾聴とは
傾聴とはかんたんに言うと、
「充分に関心を向け、利用者の心の声に耳を澄ますこと。」です。
傾聴の主な技法については

【傾聴】ってこんなに楽しい①~主な技法編~介護福祉士国家試験対策「コミュニケーション技術」
また、コミュニケーションの分野では
バイステックの7原則が非常に役に立ちます。

【バイステックの⑦原則】の理解が、問題を解きやすくする。介護福祉士国家試験対策「コミュニケーション技術」
をご参考になさってください。
コミュニケーションの本質
【傾聴】って話し聞けばいいんだよね?くらいに思ってました。
今回、ご説明したものは、介護福祉士国家試験対策で、かんたんにまとめているので、一部になりますが、それでも、これだけの事がわかると、
楽しいなって思えるようになります。
むしろ、楽しんでください。
「コミュニケーションの本質は楽しむこと。」だと思っています。
【傾聴】に関する出題について
出題基準
領域:人間と社会
科目:人間関係とコミュニケーション
大項目:2 コミュニケーションの基礎
中項目:3 コミュニケーションの技法
小項目:受容・共感・傾聴
【傾聴】キーワード出題回
第31回 | 問題28 |
第28回 | 問題33 |
第26回 | 問題39 |
傾聴というキーワードが出てきた回は上記の通りで、2~3年に一回は出てきています。
第31回に出てきているので、第32回に出てくる可能性に関してはなんとも言えませんが
【傾聴】の技法を活用して解く問題
第31回 | 問題3 |
第30回 | 問題29 問題31 |
第26回 | 問題37 |
第25回 | 問題4 |
と出題されています。
受容・共感・傾聴 という技法を用いて、コミュニケーションをとるという観点は問題を解く上でも、現場でもとても重要なので、しっかり頭に入れておきましょう。
現場で従事されている方には、当たり前のことかも知れませんが、改めて確認しておいてください。
【SOLER】理論とは?

テキストなどでよく出てくる傾聴の基本動作の中で「SOLER」という言葉が出てきます。
「SOLER」 (ソーラー)とは各動作の頭文字をとった言葉です。
【SOLER】理論を活用して解く問題
第28回 | 問題33 |
第26回 | 問題39 |
第25回 | 問題3 |
じゃあ、各動作って?てことなんですが、
その前にまず、介護福祉士国家試験の過去問題に触れてみましょう。
介護福祉士国家試験 第25回
問題 3 介護職と利用者のコミュニケーションを促す場面づくりに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者との関係性をつくる座り方として、直角法より対面法の方が有効である。
2 対面法で座る場合、視線を向けることのできる花瓶などを机の上に置くとよい。
3 利用者に近づけば近づくほど、親密な雰囲気になって利用者は話しやすくなる。
4 利用者が座っているときも、介護職は立ったままで話しかけてよい。
5 介護職が腕や足を組んだ姿勢をとると、利用者はより話しやすくなる。
解答… 2 対面法で座る場合、視線を向けることのできる花瓶などを机の上に置くとよい。

ここで、【SOLER】について、表を見てみましょう。
Squarely (スクウェアリィ) | 利用者とまっすぐ向き合う。 ・心をまっすぐ向ける。 (真正面に座る意味で考えないほうがいい。) |
Open (オープン) | 開いた姿勢。 ・腕や足を組まない。 |
Lean (リーン) | 相手へ少し身体を傾ける。 ・やや、前のめりになる。 |
Eye Contact (アイコンタクト) | 適切に視線を合わせる。 ・上から見下ろさない。 ・適度に視線を外す。 |
Relaxed (リラックス) | リラックスして会話をする。 |
この表を見ながらだと、解きやすくなるのではないでしょうか?
特に親しい関係でない場合が適用されていくと思います。
選択肢1からみていきましょう。
1 利用者との関係性をつくる座り方として、直角法より対面法の方が有効である。
表には、 Squarely(スクウェアリィ) :利用者とまっすぐ向き合う。 とありましたが、まっすぐ向き合うは、心のこと。
あまり親しくない人と、実際に対面してしまうと緊張しませんか?
2 対面法で座る場合、視線を向けることのできる花瓶などを机の上に置くとよい。
対面してしまうので、直角に座ることが勧められますけど、環境としてできないこともありますよね。そのままでは緊張しっぱなしです。
その場合、適度に視線を外せるように、 花瓶などを机の上に置くとよいとされます。
表から見ると
Eye Contact(アイコンタクト)+ Relaxed(リラックス) ですね。
3 利用者に近づけば近づくほど、親密な雰囲気になって利用者は話しやすくなる。
好意を持っている相手ならともかく、あまり親しくないのに、近づかれるのちょっとイヤじゃないですか?パーソナルスペースとかもあるし、緊張しますよね。
ある程度の距離は必要です。


4 利用者が座っているときも、介護職は立ったままで話しかけてよい。
そんなわけない(笑)そんな人に、何か話したいわけないですもん。
Eye Contact(アイコンタクト) : 適切に視線を合わせ、上から見下ろさない。 + Relaxed(リラックス)。
なので、目線は合わせるために、座るほうが適切です。
5 介護職が腕や足を組んだ姿勢をとると、利用者はより話しやすくなる。
4と一緒。そんなわけない(笑)
Open(オープン) : 開いた姿勢で、腕や足を組まない。 + Relaxed(リラックス) 。
こうやってみると、冒頭にお話しした1文が理解できませんか?
「緊張させないで、リラックスしてもらう」
どうしたら、緊張せずにリラックスしてもらうことができるか?もしくは、こんな状況なら、自分はリラックスできないなを考えれば、この手の問題は簡単に解けます。
他にも、同様の問題があるので、見ていきましょう。
その他の問題
「あいづち・うなずき」編にも参考にした問題です。
そちらをみてくださった方は、復習がてら、挑戦してください。
介護福祉士国家試験 第26回
[事例] Gさん(50歳、女性)は母親Hさん(80歳)と二人暮らしである。Hさんは5年前に認知症(dementia)と診断され、通所介護(デイサービス)を利用している。
Gさんの兄は、Gさん宅から車で1時間の場所に住んでいるが、仕事が忙しいという理由で、Hさんの介護は行っていない。
この1週間、Hさんは深夜に家の中を歩き回り、ドアを叩くので、Gさんは眠ることができない。
次の記述は、通所介護(デイサービス)の介護職とGさんの会話である。
介護職 :「Hさんは、今日、デイサービスで眠そうで、寝て過ごすことが多かったです」
Gさん :「それで、母を起こしてくれましたか」
介護職 :「起こしましたが、すぐ寝てしまいました」
Gさん :「デイサービスを利用しているのだから、昼間は眠らないようにしてくれないと、私が困ります。母から夜に何度も起こされるので私は眠れません。兄は、私が介護で大変なことを少しもわかってくれない。皆さんも私の大変さをわかってくれないのですね」
問題39 話を傾聴していることがGさんに伝わりやすい会話の仕方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 . Gさんにいすを勧め、立って話を聴いた。
2 . Gさんが話している時、目を閉じて話を聴いた。
3 . Gさんの話す言葉を、正確に記録することに集中した。
4 . Gさんに対面していすに座り、顔をまっすぐ見つめながら話を聴いた。
5 . Gさんの話を、時々うなづいたりあいづちを打ちながら聴いた。
解答… 5 . Gさんの話を、時々うなづいたりあいづちを打ちながら聴いた。

Squarely (スクウェアリィ) | 利用者とまっすぐ向き合う。 ・心をまっすぐ向ける。 (真正面に座る意味で考えないほうがいい。) |
Open (オープン) | 開いた姿勢。 ・腕や足を組まない。 |
Lean (リーン) | 相手へ少し身体を傾ける。 ・やや、前のめりになる。 |
Eye Contact (アイコンタクト) | 適切に視線を合わせる。 ・上から見下ろさない。 ・適度に視線を外す。 |
Relaxed (リラックス) | リラックスして会話をする。 |
1~4は、Eye Contact(アイコンタクト) が全くできていないですよね。
1は、もう、論外だと。
2、3は、真剣に考えてそうですけど、「聞いてます?」って感じですよね?
4は、「そんなに見ないでください!」という感じです。 そして、対面ではなく、できれば直角に座ることが適切。
いずれも話す側としては、Relaxed(リラックス) もできない。


介護福祉士国家試験 第28回
問題33 傾聴の技法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 . 最初に客観的事実を確認してから聴く。
2 . 相手の言葉を妨げないで、じっくり聴く。
3 . 相手の目をじっと見つめながら聴く。
4 . 早い動きでうなずきながら聴く。
5 . 解決策を提案しながら聴く。
解答… 2 . 相手の言葉を妨げないで、じっくり聴く。

Squarely (スクウェアリィ) | 利用者とまっすぐ向き合う。 ・心をまっすぐ向ける。 (真正面に座る意味で考えないほうがいい。) |
Open (オープン) | 開いた姿勢。 ・腕や足を組まない。 |
Lean (リーン) | 相手へ少し身体を傾ける。 ・やや、前のめりになる。 |
Eye Contact (アイコンタクト) | 適切に視線を合わせる。 ・上から見下ろさない。 ・適度に視線を外す。 |
Relaxed (リラックス) | リラックスして会話をする。 |
1,4,5の選択肢は、 Squarely(スクウェアリィ) ができていないように思います。
3は Eye Contact(アイコンタクト)ができていません。
つまり、選択肢2以外では、 Relaxed(リラックス)ができません。
ですので、「2 . 相手の言葉を妨げないで、じっくり聴く。 」になります。
この選択肢のポイントは
・妨げない
・じっくり聞く
ですね。話しを妨げられたら、もう、話す気なんかなくなっちゃうし、じっくりでなく、「要点だけいって」みたいな感じでも、そうです。
記事の最後に
この、SOLER理論について、介護ぷらす+というサイトに面白いことが書いてあったので、よろしければ参考にしてみてください。
見ていただくと、私がまとめた意味ないかな?とか思ってしまいますがね(笑)

「あいづち・うなづき」編でもお話ししましたが、これからの時代、介護の仕事もほとんどは、AIなど、テクノロジーにとって変わっていきます。
むしろ、そうなってもらいたい。
そうすれば、コミュニケーションをとれる時間がぐっと上がりますからね。
人間でないとできないスキルだけを高める。
コミュニケーション能力が高いということは、相手のことをより深く知ることができ、よりよいケアにつながることを意味すると考えます。
傾聴だけなら、おそらく、AIのほうが優れます。
でも、人に聞いてもらいたい、人に何か言ってもらいたいと言う気持ちは、何年経っても決して変わらない。
だからこそ、コミュニケーション能力が必要になってくると考えています。
「介護は人間がやるべきだ」とお考えの方は、少し頭をやわらかくしてみてください。テクノロジー時代で生き残っていく為に、利用者のQOLを高める為に必要なのは、人間であり、人間にしかできないスキル。
少し、興味を持っていただいた方は
この本を読んでみてください。
テクノロジーによってなくなる仕事はいくらでもあることがわかりますし、避けて通れないこともわかります。
「柔軟に対応し、自分の価値をいかに高めるか?」
を考えさせられます。そして、私は
「価値を高めた自分を、どう活かすか?どう社会に役立てるか?」
を真剣に考えるようになりました。
ぜひ、一度読んでみて下さい。
最後に、記事内の介護福祉士国家試験、過去問題に再挑戦してみましょう。
介護福祉士国家試験 過去問題 に再挑戦
介護福祉士国家試験 第25回
問題 3 介護職と利用者のコミュニケーションを促す場面づくりに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 利用者との関係性をつくる座り方として、直角法より対面法の方が有効である。
2 対面法で座る場合、視線を向けることのできる花瓶などを机の上に置くとよい。
3 利用者に近づけば近づくほど、親密な雰囲気になって利用者は話しやすくなる。
4 利用者が座っているときも、介護職は立ったままで話しかけてよい。
5 介護職が腕や足を組んだ姿勢をとると、利用者はより話しやすくなる。
解答… 2 対面法で座る場合、視線を向けることのできる花瓶などを机の上に置くとよい。


介護福祉士国家試験 第26回
[事例] Gさん(50歳、女性)は母親Hさん(80歳)と二人暮らしである。Hさんは5年前に認知症(dementia)と診断され、通所介護(デイサービス)を利用している。
Gさんの兄は、Gさん宅から車で1時間の場所に住んでいるが、仕事が忙しいという理由で、Hさんの介護は行っていない。
この1週間、Hさんは深夜に家の中を歩き回り、ドアを叩くので、Gさんは眠ることができない。
次の記述は、通所介護(デイサービス)の介護職とGさんの会話である。
介護職 :「Hさんは、今日、デイサービスで眠そうで、寝て過ごすことが多かったです」
Gさん :「それで、母を起こしてくれましたか」
介護職 :「起こしましたが、すぐ寝てしまいました」
Gさん :「デイサービスを利用しているのだから、昼間は眠らないようにしてくれないと、私が困ります。母から夜に何度も起こされるので私は眠れません。兄は、私が介護で大変なことを少しもわかってくれない。皆さんも私の大変さをわかってくれないのですね」
問題39 話を傾聴していることがGさんに伝わりやすい会話の仕方として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 . Gさんにいすを勧め、立って話を聴いた。
2 . Gさんが話している時、目を閉じて話を聴いた。
3 . Gさんの話す言葉を、正確に記録することに集中した。
4 . Gさんに対面していすに座り、顔をまっすぐ見つめながら話を聴いた。
5 . Gさんの話を、時々うなづいたりあいづちを打ちながら聴いた。
解答… 5 . Gさんの話を、時々うなづいたりあいづちを打ちながら聴いた。

介護福祉士国家試験 第28回
問題33 傾聴の技法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 . 最初に客観的事実を確認してから聴く。
2 . 相手の言葉を妨げないで、じっくり聴く。
3 . 相手の目をじっと見つめながら聴く。
4 . 早い動きでうなずきながら聴く。
5 . 解決策を提案しながら聴く。
解答… 2 . 相手の言葉を妨げないで、じっくり聴く。
みなさんおつかれさまでした。
いつもお読みいただきありがとうございます。
おすすめテキスト
法改正の部分は正直、独自に調べるのは難しい。
解りやすく、学びやすくしてくれています。
成美堂出版の回し者ではないのですが、本のタイトルで手に取るものが、たまたま成美堂出版の本で、うちには何冊もの成美堂さんがあります。
ずぼらの私には要点まとめとかかかれてしまうと、手に取ってしまいます(笑)
こちらのテキストは
確かに、出題頻度の高いキーワードをピックアップしていますので、
効率よく勉強ができると思います。
しかし、より頭に定着させるには、過去問題も一緒に解くことです。
問題集や、過去問、やるときに、びしっとまとまってます。
オールカラーで、まあ、大きいですけど、その分見やすいです。
参考書というか、図鑑みたいな感じですね。
わからないキーワードがあったときに、索引ですぐに調べられますし、わかりやすくまとめられていますので、とっても便利です。
1~2年前の中古でも全然いいと思います。
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私もボランティアで傾聴をしています。
改めて振り返りが出来ました。